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ちいさなベランダ



独身時代、設計事務所に勤めていた時に、OGが子どもを連れて遊びにきてくれたことがあります。

久しぶりの再会に喜びながら、みんなで打ち合わせテーブルでお茶を飲んで会話をしている間、娘さんはじっと黙って、少しうつむきながら、ぬいぐるみだったか小さなおもちゃをいじっていました。

OGさんも所員も私もちょこちょこ話しかけたりするのですが、黙りこくったまま。


一通りの近況報告をお互いに終え、OGさんと娘さんは事務所にある小さなベランダに出ました。

事務所は一戸建て住宅の2階部分。2畳分くらいの小さなスペース。


でも、そこに出た瞬間。

娘さんはぴょんぴょん飛び跳ねて喋り始め、こちらとも楽しそうに言葉を交わしてくれました。その子にとっては、小さな「外」が日常を思い出させてくれたのかもしれません。


外は声が反射せずに拡散していきます。

風や鳥や車、いろんな音が聞こえると、

自分の一挙手一投足が注目されない。

そんな状況のほうが心が落ち着く。


大人たちはついつい向き合って声をかけたくなっちゃうけど、

雑踏のなかで横に並んで同じ景色を見ていると、同じ気持ちになれるかもしれませんね。

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